友達の言葉 -03

私はこんな性格なので、一人でいることがものすごく好きだ。
人が恋しくなることはないし、ぼっちは寂しいなどと思うこともない。
かといって、人が嫌いというわけでもない。
ただ、何事も自己完結というか、人の存在を計算に入れていないというか、とにかく、私の中では「人との時間」というものがあまり重要ではなかった。

そんな私に、彼氏ができた。
大学時代のことである。
ほぼ同じタイミングで一人暮らしを始めていた私は、一人の快適さに毎日打ち震えていたわけだが、それがそうはいかなくなったのだ。
なんせ彼氏だから・・・だいたい一緒にいるわけで。
一緒にいるのが楽しい反面、どんどんストレスが溜まっていってしまったんだよね・・・。
堪りかねた私は、友達にこう愚痴った。
「全然自分の時間がとれないんだよ」
友達は即答した。

「一緒の時間が自分の時間なんじゃないの?」

鈍器で頭を殴られたような衝撃、とはよく言ったもので、それを実感した瞬間だった。
絶句。
なんも言えねえ・・・。
だってその通りだ。その通り過ぎる。
そういう生活を選択したのは私だ。
それがいやなら付き合わなければよかったではないか。
強制されたわけじゃなし。

実際、その友達は「こいつ何言ってんだ?」と思っていたらしい。
立場の違いはあるにせよ、見え方や感じ方って、人によってこんなにも違うんだなぁ・・・。

なお、この名言の影響力は今も絶大で、「私の時間・・・」とつい悲観してしまう私に、「その時間も私の時間」と思い直させることに成功し続けている。
ただ、前述したとおり、私は元来一人でいることが大好きだ。
ゆえに、「自分だけの時間」をゴリ押しすることも少なからずある。
しかしまあ、十分には得られない。
それでも落胆せずにいられるのは、「一緒の時間も自分の時間なんだし」と自分を言い聞かすことができるこの言葉のお陰だろう。
いや。にほかならない。

ちなみに、知り合いの主婦にもこの名言を教えてあげたら、私同様、絶句した。
「自分の時間がない!」と常にイライラしていた彼女が、思いも寄らない真実を知らされたとしか表現できない驚愕の表情で固まったときは、「だよね」と思った。
彼女がこの言葉を知ったことは、彼女だけでなく彼女の家族にとっても有益だったに違いない。私いいことした。

こういう言葉って、同じ立場の人同士で集まって愚痴ったり慰めあったりしていても絶対に出てこないと思うんだよね。
現に、この名言をくれた友人は独り身だったし。
持つべきものは、違う状況に身を置く、別視点を有した友人だよなぁとつくづく思う。
本当にありがたい。

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