校正の資格を取りたい -03 さらに取れちゃった

昨年9月に日本エディタースクールの「校正技能検定試験(中級)」に謎に合格したその勢いで、翌10月に、校正実務講座の「校正士」も受けてみたところ――

そちらも受かっちゃいました

嬉しさより、まず思ったのは「長かった・・・」ってこと。
なぜなら、これは四半世紀前に受けた通信講座の資格なんだよ。
ガッチガチの理系大学に通いながら校正に興味をもったのは、有志の学生組織(情報冊子編集委員会)に所属していたからだろう。けど、思い返せば私は、幼い頃から新聞係だの広報係だのをやりたがるタイプの子であった。そういった分野に特化した資格があると知って、興味が湧かないわけがない。むしろ不自然だったのは、興味もないのに興味のない大学に進んだことのほうである。
それは、親の夢や願望や固定概念といったつまらぬ理由で、親が子の挑戦を阻み、可能性を奪い、未来を狭めた、悍ましい過去だ。私の親は、己が成し得なかったことを子が成せれば満足だったのだろうか。そのために、その子が自分の人生を「成し得なかった」と悔いることになってもか。
・・・話が逸れた。

校正士の資格試験は在宅で行われる。送られてきた問題兼解答用紙を期日までに送り返す仕組みだ。「原稿引き合わせ(縦組み)」「素読み(縦組み・横組み)」「筆記(漢字)」の計4問。10日間くらいだったかなぁ。
とはいえ、相応のボリュームがあった。加えて、在宅なので、いくらでも調べられてしまう。つまり、やろうと思えばどこまででもやることができるわけだ。なんせ、「これはやらんでいいですよ」といった甘いお達しがひとつもない。「ひょっとして事実確認(ファクトチェック)までしなきゃならんのか!?」と、私は震え上がった。

というのも、何を隠そう、私はこのファクトチェックが嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで・・・!!
校正の資格に挑戦する前から、校正を生業にするつもりは元々なかったのだが、そんな作業があると知って、それは揺るぎない意思となった。そんなもん、それを書きたい人が自分の責任で調べなさいよ!? もしくは編集者とか、書かせたい人が調べるべきでしょ!? 参考文献との正誤をチェックするならまだしも、何で調べたのかもわからんことを、もっと言えば調べたのかさえわからんことを、ゼロから自力で調べ上げ、場合によっては国会図書館にまで行って原本を確認するなんて作業は、校正の仕事じゃないだろ!! 少なくとも、25年前のテキストにそんな作業は載っていなかったよ! てか、それは「校閲」ではないのか!? しかし・・・
エディタースクールの講師によると、そこまで求められているのが、今の校正であるらしい。正直、辟易した。なんてこったい・・・。
だが、それが現在の常識であれ、そんな作業は、人の世話だの尻拭いだのが死ぬほど嫌いな私には到底不可能である。

というわけで、作業に関する細かな指示がなかったことを逆手にとって、事実確認はせずに提出した。で、合格だ。
ほっとした。
この「ほっ」は、合格したことに対してというより、実際の仕事を想定した問題であったにも関わらず、事実確認が求められなかったことに対する「ほっ」である。
「校正」の実状は果たしてどちらなのか・・・?
それを私が知ることはない。

なお、合格証書などと一緒に事務的な解答例が同封されていたが、驚くほどシンプルなことしか挙げられていなかった。
なんだ・・・日数あったから、みっちりガッツリやったのに・・・。そうかい、そんな感じでよかったのかい・・・。
だから、たぶん難易度はさほど高くない試験だったのだと思う。無論、明らかな間違いに気付く目は必要だけど、それ以外の部分については、赤と鉛筆の書き分けが出来ていればいいってことだったのかなぁといった感じ。
にもかかわらず、届いた封筒には、「すんげー難しい試験を突破したこの人を自信をもって推薦しまっす!」といった主旨の、就職活動用と思しき書面が同封されていた。こんなん恥ずかしくて使えるかよおおお!?

何はともあれ、すっきりした。
長い間中途半端なままだった興味を、ちゃんと形にできたことは、たとえこの先それを役立てることがなかったとしても、私の自信になる。
「成した」私はきっと、これまでよりも前向きに、堂々と生きていけるはずだ。たぶん。
学び直せてよかったと、心から思う。

なお、スポンサー(旦那)に合格を報告したら、
「次は何の資格を取るの?」
と言われた。
なんだそりゃ? 資格マニアじゃないんだからさぁ。
そう言って笑って、
「取らんよ」
と答えたら、旦那は
「そうなの?」
と、意外そうな顔をした。
そういえば、大昔に私は、「本当は進みたい道があった」と旦那(当時は彼氏)に打ち明けて泣いてしまったことがある。そのとき、この人は「オレが行かせてやる」と言っていたっけ。
あれはデカかったんだよなぁ・・・。
別に、本気でそれを当てにしていたわけではないし、それがゆえに結婚を決めたわけでもないけどさ。
でも、ひょっとしたら、旦那はそれを覚えてくれていたのかもしれない・・・?
・・・そんなわけないか。

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校正の資格を取りたい -02 取れちゃった・・・。

いや、何ででしょうね?
「校正技能検定試験(中級)」に合格してしまいました・・・。
いやいやいや、何でだよ!? なんで合格した!!??

試験は、縦組原稿引合わせ、横組原稿引合わせ、縦組赤字引合わせ・素読み、学科(基礎知識)、と4つあって、それを1日かけて会場で受ける形式で行われた。
私は、比較的得意だと思っていた横組みで絶望的なミスを犯したという自覚があり、確実に不合格だったはずなのよ。なのに、これは一体どういうことなのか・・・。
名前も受験番号も3度見し、「合格」の2文字すら5回は見直した。しかし私はこれでも一応校正を学んだ者だ。その程度の文字数を読み誤ることはさすがにない。これは、私が合格したという書類で間違いないようだ。

な・・・何故なんだあああ!!

何故、何故、検定試験の点数は公表されないのか! 「減点となった項目の傾向」さえすべて空欄で、何も間違わなかったはずはないのに、これでは何の参考にもならない
喜ぶべき結果なのに、こんなモヤモヤしたままだなんて、ツラい! ツラいよ!!
ああ・・・。私これ、この先ずっと謎に思ったままなのかな・・・。わからんまま死ぬのかな・・・。「絶対合格してる!」と思えるだけの成果を本番で出せなかった私が悪いのか・・・容赦ねえ・・・。

とはいえ、当初の目的は果たされたわけだ。
すなわち、「細かいところに拘って当然と思える何者かになる」を達成。これで私は晴れて「校正者」だ。おめでとう。ありがとう。今後は心置きなく細かいところに拘って生きてくれ。
なお、資格を取るにあたっては、日本エディタースクールのお世話になった。毎週電車で通ってねぇ、学生みたいで楽しかったよぉ。先生ありがとう~。

ちなみに、校正実務講座のほうにも問い合わせをしてみたら、通信講座を修了した人なら、それがどんなに大昔でも、「校正士」の資格試験を受けることができると回答を得た。
こちらの試験は、実際の仕事を模して行われるようで、自宅に送られてくる試験問題を締め切りまでにやって送り返すらしい。面白そうだし、いずれ挑戦してみようと思う。
ただ、日本エディタースクールと校正実務講座とでは、細かなルールや考え方に違いがあるように思えたので、そういう部分で減点されちゃう可能性はありそう。でも、それはそれでリアルっぽくていいとも思うのだ。実際に仕事をするとなったら、きっとそんな感じなんだろうし。しないけど。
なので、経験させてもらうというノリで頑張ってみるつもり。

さて・・・。
合格するとは思っていなかったので、次の試験に向けての勉強をする必要がなくなってしまった。合格する気でいた頃は、試験が終わったら何をしたいと思っていたんだっけかな・・・。見事に葬ってしまったため思い出せない。なんちゅう気合いだ、恐ろしい・・・。

そういえば、手を付けていない漫画やゲームがあるんだったわ。今こそ・・・って、なんでこんなに増えてんだよ!? ストレスフルだったのかよ!! ありすぎてむしろ萎える。

まあ、今後のことはのんびり考えるとして・・・。
とりあえず、今夜は乾杯かな。
複雑なんで、炭酸で。

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校正の資格を取りたい -01 きっかけ「拘りを正当化したい」

文章の細かいところに反応するのは、むしろ理系人なのではなかろうか。
文学的なことはよくわからない。しかし、理系は言葉のルールや一貫性などに関しては、かなりシビアな目で見ていたりする。少なくとも私はそうだし、旦那もそうだ。なんなら息子もそうだ。
「いやいや、文系はそんなの当然に見た上で、もっと深いところを見てますから」とでも言ってもらえれば「ですよね」と思って終われるんだが、生憎私の周りにそんな文系人はいないので、冒頭の思いに至っている。

何が言いたいかというと、その細かい拘りを「理系だから」と言い訳する自分がウザったい

でも、大賞を受賞するような作品を読んでいるときには、そういったことはまず起こらない。私ごときが「ん?」と思うような箇所などないからだ。
じゃあ何に対してウザイ自分が発動しているのかというと、二次創作小説にだ。
二次作品は大抵は素人が書いているし、そもそもそんな目で見るべきジャンルではない。みんなが欲しているのは正しい文章ではなく、原作では叶わない推しキャラのあれやこれやだとわかっている。
わかっているけど、細かいところに目が行ってしまうんだよ。そして、それを言い訳しようとする自分が嫌なんだわ。

これを解決するにはどうしたらいいのか。
素人作品は読まない? イヤだよ。読みたいよ。
拘りを捨てる? それをしたらおしまいでしょ・・・。
それじゃ開き直るしかないじゃないか。
そもそも、自信がないから言い訳をするのだ。もっと堂々と拘れ。堂々と拘れるようになれ。拘りを正当化しろ。

そもそも私が拘っているのは主に文章中の正誤なので、そこに反応すること自体は正当なはずだ。にも関わらず言い訳をしてしまうのは、「何様だ」という思いが自分の中に強くあるから。
そりゃそうだよなあ。実際、何者でもないんだから。
じゃあどうすればいい。
「何様だ」と思うんだから、「何様です」と思えるようになったらいいんじゃないか?
つまり、細かいところに拘って当然と思える何者かになる
それは何だ?

校正者だ。

校正とは、簡単に言えば表記をチェックして正す作業のことを言う。
実は、大学時代に趣味でちょっとだけ囓ったことがあるんだが、扱うのは主に文章なのに、頭の中はロジカルだったという記憶がある。細かいことを気にしちゃう理系がその特性をうっかり文章に向けちゃった時に逃げ込む場としては最適なんじゃなかろうか。
これを本格的に学び直せば、私は校正の資格を持つ者になるわけだから、その拘りはあって当然ということになるはずだ。
「またそんな目で」と思っちゃっても、「それでこそ私の目」と思い直せる。
「細かっ」と眉を寄せても、「病気っ」と笑って流せる。
とんでもない開き直りだ。
しかし、自分らしさ全開でいられる幸せ。表に出しさえしなければ波風が立つこともない。平和な解決策ではないか。

善は急げ。

調べた結果、「校正士校正実務講座)」および「校正技能検定日本エディタースクール)」なるものを発見。
早速夫に話してみる。

私「金と時間を使いたい」
夫「ほう?」
私「資格を取ろうかと」
夫「新たな仕事を開拓するの?」
私「しない。拘りを正当化したいだけ」
夫「ふうん。いいんじゃない?」

1分で終わった。

加えて、校正に関連して日本語検定の勉強もしてみようと思い立った。正しい日本語をわかっていることは校正の大前提だと思うし。
いかん、メキメキやる気になってきた。気分屋はノルとやり過ぎるのでちと怖い。
思った通り、いきなりテキストを買い込んだ。

日本語検定 公式テキストおよび問題集

↑ 日本語検定 公式テキストおよび問題集

わあ! いい眺め! 楽しそう! 私ったら実は文系だったんじゃない!?
それはない。断じてない。

勢いで飛びついたが、今さら急ぐことでもないので、学習は気が向いたときにマイペースで進めるつもり。
てか、本来勉強はそうでなくっちゃいけない。学生時代に試験勉強で詰め込んだものなんて、何一つ覚えてないもん。まずは楽しまないと。
なお、校正の勉強は春頃から始める予定。

このレポの需要は不明だけど、私が楽しいので、たぶんまた書く。

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